第31回東京国際映画祭コンペティション「詩人」

炭鉱労働者のリーは妻のチェンと慎ましくも幸せな生活を送っている。リーの趣味は詩作で,詩の雑誌に投稿しては,たまに入選してわずかばかりの賞金をもらったりしている。チェンは染物工場に勤めながら,夜間大学に通う夫を支えている。そんなある日,高名な詩人が炭鉱を訪問する。そんな詩人にあこがれるリーだが,手の届く人ではなかった。
夜間大学を卒業したリーは肉体労働の職場から宣伝課へと転勤となる。だが,なかなか上手くいかない。妻はそんな彼を心配し,つてを頼ってリーの詩集を出版しようと考える。そして,詩集は出版された。ところが,その出版された詩集が以前炭鉱を訪れた高名な詩人の目に留まり,その装丁を気に入った詩人はチェンを自分の詩集の出版補佐として雇い入れる。更に,その詩人の力添えもあったのか,リーは大きな詩のコンテストに入選し,詩人としての途を歩むようになる。そして…。

文化大革命が終焉を迎え,中国という国が大きく変わろうとしていた時代を描いた本作は,その時代を生きた二人の人間を通して,変わりゆくものと変わらないものについて観客に訴える映画である。決して派手ではなく,淡々と時代の流れを見つめる静かな映画になっている。傑作である。

監督の劉浩は文化大革命の時代などではなく,自分がまさに生きてきた時代こそを描きたかったのだと言う。当然ながら,現在の中国に当時の街並みはなく,メインの舞台はオープンセットを建てて撮影を行ったとのこと。ただ,撮影される側だけの薄っぺらいものではあったのだそうだが,オープンセットを作るためだけに200万ドル(米ドル)がかかったようだ。

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