稲の歌 The Songs of Rice

第27回東京国際映画祭 Crosscut Asia 出品作品。

 監督のウルポン・ラクササドはタイを代表するドキュメンタリー監督だとのこと。
 タイの稲作は日本と似ている部分も多いようだ。田に水を引き,苗を育て,田植えをして育てていく。ネズミだかモグラだかを取るシーンもあるし,水田の中で魚を釣るシーンもある。そういう丹精を込めて育てていくと,たわわな稲が育つのだ。しかしながら,この映画で稲を育てるシーンは脇でしかなく,時間的にも長くない。本作で大きく描かれているのは,豊作を祝う祭りの日の状況であり,田で働いている者たちが歌い踊る姿である。監督は自然よりも人間に興味があるのだろう。特に祭りの日の描写が印象的だ。人々は笑顔で歌い踊り,ロケット等を打ち上げる。ロケットと共に打ち上げられるぐるぐる回る大きな輪っかが日本にはなく,面白い。さらに,寺院や僧に対する農民の篤い信仰も画面から直接に伝わってくる。タイは仏教国なのだという思いを強くする。
 ナレーションが一切ないのも好ましい。ただ,ナレーションがない故にわかりにくい部分があるのも否めない。ちょっと内容にまとまりがないような印象も少しばかり感じられるように思われた。それでも,投げた苗が描く放物線,大きな輪っかの回転運動,…といった画面上における様々な運動が観る者の心をはずませるのは間違いない。

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