草原の実験 Испытание

第27回東京国際映画祭コンペティション出品作品。

 広大な草原の中の一軒家。そこに少女が父親と住んでいる。父親は毎日トラックで出かけていく。途中まで少女がそのトラックを運転して行き,帰りは知り合いの少年に馬で家まで送ってもらう。少年は彼女が好きなのだろう。
 ある日,彼女の家の前でトラックが故障してしまう。乗っていた少年がトラックを冷やすための水をもらいにやって来た。井戸から水を分けてあげる少女。少年は彼女に恋をする。彼女の家までやって来るようになる。
 馬の少年とトラックの少年は少女を奪い合う仲となった。取っ組み合いをやったりするが,なかなか勝負は付かない。そんな時,少女の父親の具合が突然悪くなり,死んでしまう。途方に暮れる少女。致し方なく,家を捨ててどこかへ行こうかとも思い,行ったことのない外の世界へ向かって旅立つ。ところが,彼女の住んでいる土地は鉄条網に囲まれていたらしい。外の世界へはどうしても行けない。結局,家まで戻ってくるのだが…。

 セリフが一切ない映画である。しかし,セリフがなくても,映像だけから物語は十分に伝わってくる。広い草原の中にある一軒家を中心に,父親と少女と二人の青年を巡る物語は,時に暖かく,時に清冽に,時に荒れ狂う自然の中で美しい映像をバックに心に響いてくる。少女を巡る恋の三角関係も実にほのぼのしている。
 ところが,ラスト近くにあっと驚くどんでん返しが待っている。想像だにできない衝撃が観る者を襲う。映画のほとんどを覆っていた美しさが一気に反転し,強烈な印象を持って映画は終わる。ここでタイトルの恐ろしい意味が判明する。ラストの衝撃故にこの映画は歴史に残ることは間違いない。

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