遥かなる家 家在水草丰茂的地方

第27回東京国際映画祭コンペティション出品作品。

 バルテルとアディケルは二人の男兄弟である。両親は草原で放牧をして生計を立てているが,水が枯れ,草原がどんどん減っている現状では,遠くまで放牧地を探して移動しなければならない。おかげで,兄のバルテルは都会近くの祖父のもとで暮らし,弟のアディケルは学校の寮に暮らしている。弟は学校の休みには両親のもとに行くのだが,兄は祖父の家に預けられたままだ。そんなことで兄は弟を羨んだりしている。
 今年も夏休みが来た。アディケルは父親が迎えに来るのを待っていたが,一向に迎えに来ない。致し方なく,放牧地へ両親を訪ねることにする。一方,体を悪くしていた祖父が亡くなってしまったため,バルテルもアディケルと一緒に放牧地へ向かうことになった。二人は駱駝に乗って,長い旅を始める。

 広大な中国奥地の砂漠の中を少年が駱駝に乗って旅をする。そんな状況を大画面で観るだけで幸せな気分になれる。二人は互いに励まし合いながら,また,時には喧嘩しながら両親のもとへ向かっていく。途中,いくつかの廃村を通る。ちょっと前まで人々が暮らしていた村。大昔に栄えていたのだが,ほとんど遺跡に近くなった村。いずれにしても,多くの村には人々の姿はなく,砂漠が緑を蝕みつつあることがよくわかる。途中通ったラマの寺院も,都会へと移動してしまうらしい。砂漠に埋もれていく村々の描写が哀しい。そして,ラストがまた衝撃的だ。兄弟が見たものは何か?移り変わる時代をそれが象徴している。
 二人の少年の顔つきが素晴らしい。演技(演出?)も素晴らしい。この二人がいたからこそ,この映画が精彩を放っているのは間違いない。

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