第27回東京国際映画祭 Crosscut Asia 出品作品。
タイの映画監督アピチャッポン・ウィーラセタクンの編集技師として有名なリー・チャータメーティクンの初監督作品。当然ながらアピチャッポン監督とは全く異なるセンスと内容の作品である。
ニューヨークで金融ディーラーをしているマットのもとに父親自殺の報がもたらされる。すぐさまバンコクへ帰国するマット。マットには父親と同居している弟のニックがいる。ニックは向かいのアパートに住むプーペーと半同棲のような生活をしている。
帰国したマットは昔付き合っていたサーイに連絡を取る。彼女はモデル業のかたわら,マーケティング業界で一目置かれる存在になっている。どうやら,彼はサーイをバンコクにおいたままニューヨークへ行ったらしい。再開して焼けぼっくいに火がつくかと思われる二人だったが,やはりそんなに上手くはいかないようだ。一方,ニックとプーペーの仲も上手くいっているようで,そうでもないらしい。二組の恋の行方がカラオケの歌を挟みながら描写されていく。
カラオケ映像が上手く使われている。こういう風に歌謡曲というかポップ・ミュージックを映画に上手く組み込むのが最近のタイ映画の特徴なのかもしれない。ここには日本のドラマの影響も見られるような気がする。
何故,父親が自殺したのかについては明確には明かされない。だが,作品中で繰り返されるように,タイ金融危機が大きな影響を与えているのだろう。