神様の思し召し (Se Dio Vuole) 第28回東京国際映画祭 コンペティション

トンマーゾは心臓外科医だ。彼は素晴らしい腕をしているが,結果は全て自分の技術だという信念の持ち主で,当然のように奇跡など信じない。難しい手術が成功するのも自分の腕のなせるものであって,奇跡であろうはずがないではないか!息子のアンドレアも医学の道に進んでいるが,すごい秀才でもない。試験を落としかねない成績なので,もう少し頑張ってほしいと思っている。ところが,最近彼の様子がおかしい。何やら告白をしたいと言う。まさか,ゲイをカミングアウトするのかと思ってびびっていたら,あろうことか,神の道に進みたいとの告白であった。そんなの承知できるわけがないじゃないか!神なんていう曖昧なもので飯を食うことなんてできるわけがなかろう。
どうやら,彼に入れ知恵をした人物がいるらしいと探ってみると,毎回とある集会に出ているらしいことを突き止める。そこでわかりやすい説教をしているのがピエトロ神父である。なるほど,彼の口車に乗せられたに違いないと考えたトンマーゾは神父に近づいていく。

笑わせて,感動させて,しかも,ホロリとまでさせてくれるコメディとはかくあるべしという作品。とりわけ主役のトンマーゾとピエトロ神父の絡みが実に面白く,よくできている。失業者で,しかもひどい女房と知恵遅れの弟を持っている先の展望が全くないような男として近づくわけだが,当然ながら本性がチラチラ出てしまう。ここで笑いが取れなければ,そんな脚本はクズですよね。いやぁ,上手い上手い,素晴らしいストーリー展開。女房と知恵遅れの弟のいる悲惨な家に連れて行けという神父の要望にも,何とかそれなりの役を割り当てた知り合いに演じてもらうのだが,当然のように大笑いの連続。ホントによく考えられた脚本だし,上手い演出をしているなという印象。そして,決まりきったように神父の心根に魅力を感じていってしまうトンマーゾ。この手のコメディのお手本のような展開です。
ラストは,かなり衝撃的だが,それでも印象は悪くない。それは結末を観客に投げているからかもしれないのではありますが。

こんなコメディ映画が普通に観られるようになってくれたらなぁと思うのでした。ちなみに,本作は観客賞を取りました。当然でしょうね。

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