シャンシャンはイギリス留学から帰って来た。もうロンドンには戻ることはないだろう。父親は映画関係の仕事をしていたが,今は肺癌で療養中。何年もは生きられないようだ。
シャンシャンと父親との間は疎遠だったし,一緒の時間を過ごしたいと思ったりもするのだが,なかなか上手く行かない。それでも,父親との思い出がないわけではない。淡々と父親の死までの情景が描かれていく。
自伝的作品だと言う。とすれば,監督の父親も蒙古で映画を撮っていたのであろう。
父親が故郷を訪ねる。おそらくは映画を撮っていた撮影所を訪問する。映画看板などが並ぶ中を奥へ行くと何とフィルム上映施設がある。何かを上映してみましょうか?と,古い彼の映画をかけてみる。広大な大地を馬が駆けていく。その馬に乗りこなす彼の若き姿がある。映画とはこういうものだったのだし,映画とはかくあってほしいとの思いが噴出する瞬間だ。こういうところに映画への愛がひしひしと感じられる。