月別アーカイブ: 2014年11月

彼女のそばで Next to Her

第15回東京フィルメックス コンペティション参加作品。

 テルアビブの北にある街ハイファの裕福とはとてもいえない地域のアパートにシェリは妹のギャビーと二人で暮らしている。ギャビーは障碍者であり,知能が遅れている。だからシェリは毎日の多くの時間を妹の世話に費やしている。しかし,シェリも働かなければならない。その間,ギャビーをアパートに閉じ込めておくような生活には生活指導員から勧告が入り,シェリが働く昼間の時間はデイケアサービスの施設に預けることになった。そのせいもあってか,シェリは勤めている学校の代用教員であるゾハールと付き合い始め,彼女の家で同棲を始める。当然ながら,ギャビーもデイケアサービス以外の時間は一緒に過ごすことになるのだが,ゾハールのギャビーへの優しい対応もあって,三人の生活は上手くいくように見えた。ところが…。

 素晴らしい!
 シェリとギャビーの二人の姉妹を中心として,その周囲の人たちも含めた実に細やかな演出が観る者を引き付けて離さない。障碍者のギャビーを演じているのはイスラエルを代表する名優モーシェ・イヴギの娘であり,今では自身も人気女優となっているダナ・イヴギ。彼女の演技はとても健常者が障碍者を演じているとは思えない迫力あるものとなっている。そして,妹を見守るシェリを演じるのは監督の奥さんであり,脚本も担当したリロン・ベン・シュルシュ。妹を見守ると同時に,逆に彼女に大きく依存して生きている姉を繊細な演技で見事に演じ切っている。二人の姉妹の演技を見るだけでため息が出る。
 監督は本作が長篇デビューとなるアサフ・コルマン。彼はずっと編集畑を歩んでいたようだが,デビュー作とはとても思えない素晴らしい演出・構成には驚かされる。ラスト近く,大きな事件が起きるのだが,その事件によって,ラストで姉の妹に対する見方が大きく変化する。圧倒される結末に大きな感動が観る者を捉えるのだ。
 本作は母性の物語であると監督は言う。そして,次回作は父性の話になる予定だそうだ。当然,奥さんは俳優としてキャンスティングされるらしい。今後のコルマン監督には大いに期待したい。

シャドウデイズ 鬼日子

第15回東京フィルメックス コンペティション参加作品。

 赵大勇監督の長篇第二作。
 レンメイは中国で最も高地にある村の出身である。彼は都会に住んでいたが,彼女が妊娠したため,子供をこの村で生んでもらおうと帰って来た。彼の叔父さんは町長をしていて,彼を喜んで受け入れてくれた。しかし,彼がやって来てすぐに警察が姿を見せた。どうやら,レンメイは都会で殺人に関わっていて,参考人として彼のことを追って来たようだが,叔父さんは知ってか知らずか,警察には彼のことを話さなかったようだ。
 レンメイはすることもないので,叔父の勧めで計画出産を管理する部署の手伝いをし始める。どうやらその部署にはノルマがあるらしく,子供がいる家庭の女が更に出産するのを知ると,無理にでも堕胎させてしまうような部署なのだった。そして,…。

 レンメイと彼女は結婚していない。彼の叔父は村への滞在を快く許しているようで,結婚せずに子供を作るということにはどうもいい顔をしていないようだ。やはり,中国の奥地の村はかなり封建的なのだろう。そして,このことが後の悲劇に直接つながってくる。
 中国では産児制限が行われている。だから,村では計画出産を管理しなければならない。その最高責任者は町長ということになるのだろう。だからこそ,無理に堕胎させるようなことがあると,町長は鬼だと言われ,村民からも排斥されてしまうのだ。しかも,本作では,直接に堕胎させられた水子の映像まで出すような演出が施されている。おそらくその祟りなのだろう,町長は足に怪我を追ってしまう。確かに中国映画ではあまり見ない演出だと思う。
 無理な堕胎は母体への影響も大きい。そして,それは直接的な悲劇へと結び付く。静かで素晴らしい環境の村で起きてしまう悲劇。現代中国の一面を垣間みる事ができる。

西遊

第15回東京フィルメックス特別招待作品。

 蔡明亮は李康生が僧に扮して超スローモーションで歩く姿を撮った一連の短編を発表している。これはその一本で最新作。歩く場所はフランスはマルセイユである。しかも,ドゥニ・ラヴァンが李康生の後ろを同じように歩いたりする。
 しかし,本当に蔡明亮らしい短編だと思おう。何しろワンカットが長い長い。しかも,内容はというと,僧に扮した李康生がマルセイユの色んな場所を超スローモーションで歩くだけだ。中には,彼がどこにいるんだかなかなかわからないカットもあったりする。鏡に写り込んだ彼が歩いていたり,画面の奥にいたりする。観る側はカットが変わると,まず彼の姿を探し,見つけ出すと,そこで安心したりするのだ。「ウォーリーを探せ」だよね,全く(笑)。街中を超スローモーションで歩くわけだから,周りにいる人は興味を示したりするし,どうやらカメラに興味を示したりする人もいる。そんな周囲の反応を見るのも興味深い。
 それにしても,こんな短編を喜んで観る観客がたくさんいるんだから,それを知ることだけでも映画館へ行く価値はあるだろう(笑)。映画というのは本当に奥が深いです。

映画「間奏曲はパリで」恵比寿ガーデンシネマオープニング作品&初日決定

このたび、2014年のフランス映画祭で上映されたイザベル・ユペール主演の軽やかな大人のロマンティック・フレンチラブストーリー“La Ritournelle”は、邦題を『間奏曲はパリで』(配給:KADOKAWA)として2015年4月4日(土)角川シネマ有楽町ほか全国公開いたします。そして、良質な映画を上映し続けたものの2011年に閉館し、来年再オープンの情報が発表された恵比寿ガーデンシネマが、名前を新たに「YEBISU GARDEN CINEMA」として、本作をオープニング作品として上映することが決定しました!落ち着いた大人の街・恵比寿で、以前の恵比寿ガーデンシネマの雰囲気そのままに、ロマンティックな大人の映画をご覧いただけます。また、ユペールがエッフェル塔をバックにこれから起こる出来事にわくわくした表情を抑えきれない姿のチャーミングなポスタービジュアルも、完成いたしました。

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イザベル・ユペールの新境地、チャーミングで軽やかな、大人のフレンチ・ラブストーリー!
ハンサムで優しい若者、紳士でロマンチストな外国人、無骨な牛飼いの夫—三人の男性の間で揺れ動く女性が最後に選ぶのは…?

ゴダール、シャブロルらヌーベルバーグの巨匠たちのミューズであり、『ピアニスト』『8人の女たち』で世界の映画祭で女優賞を受賞したフランスの国宝級女優イザベル・ユペールを主演に、フランスの若手実力派マイク・フィトゥシ監督による、洗練された大人のフレンチ・ラブストーリーが誕生。ユペールは、これまでのイメージを完全に打ち破る、明るく自由気ままなヒロインを演じ、全世界の女性の共感を呼んでいる。また、不器用ながら優しい愛で妻を想う夫に『ル・アーブルの靴みがき』のジャン=ピエール・ダルッサン、アバンチュールを共にする紳士役に『ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女』のミカエル・ニクヴィスト。ヒロインを魅了するパリジャン青年に、『理想の出産』の人気急上昇中イケメン男優ピオ・マルマイなど、彩豊かなキャストが集結。

歴史と文化と美しい街並みに溢れるパリを舞台に、未知なる出会いに喜び、傷つき、

迷いながらも、本当に大切なものに気付かせてくれる物語。

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【ストーリー】
美しき、迷える“羊飼い”の主婦ブリジット。
おひとりさまで行く、恋の都パリで出会ったものとはー

ノルマンディーで農場を営む夫婦のブリジットとグザヴィエ。子供が巣立ってからというものの、穏やかで幸せだけど平凡な毎日。遊び心を忘れないブリジットは、変化をもたらそうと努力をしても、実直で無骨な夫は無関心。ある日、隣家のパーティで出会った魅力的なパリジャン・スタンとの楽しい時間が、彼女の心に火をつける。夫に嘘をつき、ひとりパリ行きの手配を始めるブリジット。未知なる期待を胸に、人生を変える休日へ出かけるのだった。

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フランス映画祭2014上映作品
出演:イザベル・ユペール、ジャン=ピエール・ダルッサン、ミカエル・ニクヴィスト、ピオ・マルマイ 監督・脚本:マルク・フィトゥシ 原題:La Ritournelle
2014年/フランス/99分/ビスタ/5.1ch /字幕翻訳:高部義之

配給・宣伝:KADOKAWA © 2014 Avenue B et Vito Films, Tous droits réservés.
オフィシャルHP:kansoukyoku-paris.jp

さよなら歌舞伎町

本作は今年9月に行われました、第39回トロント国際映画祭「Contemporary World Cinema」部門へ正式出品、10月に行われました第19回釜山国際映画祭「アジア映画の窓」部門にも正式出品され、いずれも高い注目と評価を得るなど、日本での公開に向け気運が高まっております。世界から濃密なクオリティムービーが集まる第15回東京フィルメックスに特別招待作品として11月23日(日)に上映が決定しております。

『さよなら歌舞伎町』

新宿 歌舞伎町のラブホテル
愛がみつからない大人たち、男と女が交錯する、かけがえのない1日

一流ホテルマンと周囲に偽る歌舞伎町のラブホテルの店長・徹。彼はプロのミュージシャンを目指す沙耶と同棲しているがちょっぴり倦怠期。ある日、徹は、勤め先でいつもの苛立つ1日を過ごすはずだった。そこに集まる年齢も職業も違う訳アリな男と女たち。彼らの人生が鮮やかに激しく交錯した時にあらわれる欲望や寂しさ、そして秘密とは……。

主演の徹役には、若手実力派俳優として『寄生獣』など次々と話題作に出演する染谷将太。相手役・沙耶に、トップアイドルから本格派女優の道を歩む前田敦子。そして、群像劇を彩るのは、大森南朋、村上淳、田口トモロヲ、松重豊、南果歩など豪華俳優陣。キム・ギドク監督最新作『メビウス』(12/6公開)に出演する今注目のイ・ウンウも体当たりの演技で魅せます。

メガホンをとるのは官能的な映像で男女の心の機微をすくい取ってきた廣木隆一。
本作では、人生にもがく人々の姿と、その希望と再生をユーモアを交え、リアルで温かく描く。脚本は日本映画を挑発する数々の名作を生み出してきた荒井晴彦。日本映画史に名を残す二人の名匠が、3度目のコラボレーションを果たしました。

愛を求める者も、愛に裏切られた者も、夢を追う者も、夢に破れた者も、みんなこの街、歌舞伎町へやって来る。誰かと触れ合い、別れを経験して、新しい世界へ旅立っていく。不器用で傷つきながらそれでも懸命に生きる人たちの、愛おしい物語が誕生しました。

監督:廣木隆一 脚本:荒井晴彦/中野 太
出演:染谷将太 前田敦子 イ・ウンウ 大森南朋 松重豊 南果歩  
音楽:つじあやの(スピードスターレコーズ) 
主題歌:「Belive in love」meg with SWEEP(Gambit Entertainment)
配給・宣伝:東京テアトル
©2014『さよなら歌舞伎町』製作委員会  R15+

2015年1月24日(土) テアトル新宿ほか全国順次公開!

映画『ベイブルース -25歳と364日-』劇中歌「声のしるし」レコチョク&iTunes配信決定!

 2014年3月に開催された第6回沖縄国際映画祭にてワールドプレミアが行われ、先日の京都国際映画祭でも特別招待作品として上映された映画『ベイブルース- 25歳と364日-』が、10月31日(金)ついに公開となりました。

 25歳と364日という短くも熱い人生を生き抜いた、伝説の漫才師・「ベイブルース」河本栄得の壮絶なる実話を相方である高山トモヒロが映画化したこの作品、先日は公開を記念し長らく廃盤となっていたベイブルースのデビューシングル「夫婦きどり」がレコチョクとiTunesで10月29日より配信され話題になりました。

 このたび、関西在住の歌手iLHWA(イルファ)の歌う劇中歌「声のしるし」の配信も決定しました。「声のしるし」は「夫婦きどり」とともに予告編にも使用されており、しっとりと歌い上げる哀しみを帯びた男性ボーカルが耳に残り注目されていました。

 11月12日よりレコチョクより着うた配信開始致します。iTunesでの配信は11月19日からとなり、カラオケDAMにて配信も年内配信予定です。

 26歳の誕生日を迎えることなく、「25歳と364日」で劇症肝炎にて突然亡くなった河本栄得の死を描きながらも、決して泣かせにだけ走ることなく、高校球児だった2人が漫才界のホームランバッターになることを夢見て突き進む姿を笑いと涙で描いた本作。当時のファンだけでなく、ベイブルースを知らない層にまで関心が高まっており、感動の輪が広がっています。

 映画のプロモーションは公開後もまだまだ続いており、11月12 日(水)には毎日放送「ちちんぷいぷい」(午後2時から)に高山トモヒロ監督が出演

 11月16 日(日)にはTOHOシネマズなんばにて、元毎日放送プロデューサーで、同志社女子大学教授の影山貴彦さんと高山トモヒロ監督のティーチインを予定しています。(実施詳細は決定次第、公式HP・facebook・twitter等で発表いたします)