月別アーカイブ: 2016年11月

第17回東京フィルメックス コンペティション 『オリーブの山』

主人公はエルサレム東部のオリーブ山にあるユダヤ人墓地の中の家で暮らす若い主婦、ツヴィア。夫が仕事に、子供たちが学校に出ていった後は一人で家事を行っているツヴィアは、時折気を紛らわすように墓地を散策する。ある夜、衝動的に外に出たツヴィアは、墓地で人目をはばかることもなく抱き合っている男女を目撃する。その瞬間、ツヴィアの単調な日々の生活に大きな転機が訪れる……。ヤエル・カヤムの監督デビュー作となる本作は、イスラエルの厳格なユダヤ教徒の家庭を舞台に、慎ましい生活を送っていた主婦がこれまで想像もしなかった世界を発見するプロセスをストイックに描いた作品だ。2015年ヴェネチア映画祭オリゾンティ部門で上映された。

ユダヤ教超正統派という言葉は日本に住む私たちにとってはほとんど出くわすことのないものだからこそ,こういう映画を観ることは重要だと思う。
単調に繰り返される日々から少し逸脱してしまうことで一つのサスペンスまで生まれてくる。そして,主人公であるツヴィアにも変化が訪れる。静かな映画ではあるが,これほどサスペンスフルな映画も珍しいのではないだろうか。

第17回東京フィルメックス コンペティション 『マンダレーへの道』

ミャンマー出身で、現在は台湾をベースに活躍するミディ・ジーの長編劇映画第4作。リャンチンはミャンマーからタイへと違法で国境を越える途中、同じく国境を越えようとしているグオと知り合う。リャンチンはバンコクの食堂で皿洗いの仕事を得るが、生活は思うようにゆかず、食堂が警察の捜査を受けたことをきっかけに郊外の紡績工場で働くグオを頼り、同じ工場で働き始める。リャンチンの最終的な目的は偽造パスポートを得て台湾に移住することだった。だが、グオの考えは別のところにあった……。『あの頃、君を追いかけた』に出演した台湾のスター、クー・チェンドンがグオ役を演じる。ヴェネチア映画祭「ヴェニス・デイズ」部門で上映。

クー・チェンドンが出ていることにびっくり!彼とヒロインを演じるウー・クーシーはミャンマーで農民の生活やタイの工場労働者の環境や生活ぶりを体験することで,徹底的に役作りを行ったとのこと。
実際にミャンマーからタイへ違法越境する例は極めて多いようで,監督の身近にも大勢いるらしい。そんなところから本作が生まれたのだが,それをきちんとしたドラマに作り上げるセンスには感服する。

第17回東京フィルメックス コンペティション 『私たち』

ソンは、友だちを作りたくても上手く振る舞うことができず、学校でも仲間外れにされがちな10歳の少女。そんなソンは、夏休みに近くに越してきた同い年の少女、ジアと知り合う。お互いの家を訪ねるうち、友情を築いてゆく二人。だが、新学期が近づくにつれ、家庭環境の格差が二人の友情に影を落とす。多忙な父親、母親が働きに出ているソンは、母親に代わって弟の面倒を見なければならない。一方、一見幸せに見えるジアも、自分なりの問題を抱えていた……。子供たちの生き生きとした表情が鮮烈な印象を残すユン・ガウンの監督デビュー作。社会問題がさり気なく盛り込まれている点も興味深い。ベルリン映画祭ジェネレーション部門で上映。

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素晴らしい!何と言っても,二人の少女の圧倒的な魅力!そして,それを暖かく見守るキャメラが素晴らしい!
監督は本作がデビューのユン・ガウン。こんなにすごい才能がまた出てきてくれました。今後の彼女の活躍が今から期待されます!

マギーズ・プラン -幸せのあとしまつ-

夫を前妻にお返しします!?前代未聞の、もつれまくった夫婦関係…
さあどうなる?

NYの大学で働くマギーは、文化人類学者・ジョンと出会い、恋に落ちる。
彼の妻ジョーゼットは教授として働くバリバリのキャリア。家庭を顧みない妻に疲れ果てたジョンは離婚を決意、自分の小説を好きだと言ってくれるマギーと再婚する。
数年後――娘も授かり幸せに見えた2人だが、仕事も辞め小説家の夢を追い続けるジョンとの結婚生活に不安を感じるマギー。一方、忙しいジョーゼットの子供たちの面倒を見るうち彼女とも親しくなり、彼女が“鬼嫁”ではなく知的で魅力的で、今でもジョンを深く愛していると気づく。ジョンはジョーゼットと一緒にいた方が、きっと幸せになれる…そう思ったマギーは【夫を前妻に返す】という、とんでもない計画を思いつく―。

監督・脚本:レベッカ・ミラー 「50歳の恋愛白書」

グレタ・ガーウィグ 「フランシス・ハ」/イーサン・ホーク 「6才のボクが、大人になるまで。」/ジュリアン・ムーア 「アリスのままで」

■原題・英題
MAGGIE’S PLAN

■公式サイト
http://maggiesplan.jp/

2017年1月21日(土)ロードショー

© 2015 Lily Harding Pictures, LLC All Rights Reserved.

ニーゼと光のアトリエ

第28回 東京国際映画祭グランプリ&最優秀女優賞 W受賞!

「患者は《クライエント》よ。彼らのために私たちは働くの」
心理療法の常識に屈することなく、愛と芸術で人を癒した伝説の女医、ニーゼ・ダ・シルヴェイラの気高き魂の記録。

1940年代、ブラジル。ひとりの女医が精神病院の門をたたく。彼女の名はニーゼ。そこでは毎日のようにショック療法などの暴力的な治療が行われていた。患者を人扱いしない光景を目の当たりにし、ニーゼは言葉を失う。男性医ばかりの院内で彼女が身を置けるのはナースが運営する作業療法部門だけだった。そこでニーゼは、患者を病院の支配から解き放ち、彼らに絵の具と筆を与えて心を自由に表現する場を与えようと試みる。
 実在の女医ニーゼに扮するのは、地元ブラジルにおいて数多のTVドラマや映画に出演する大女優、グロリア・ピレス。構想に13年、撮影期間4年をかけて作り上げた、ドキュメンタリー出身のホベルト・ベリネ監督が放つ渾身の一作です。

原題:Nise – O Coração da Loucura 英題:Nise – The Heart of Madness

■クレジット
監督・脚本    ホベルト・ベリネール(Roberto Berliner)
プロデューサー  ホドリーゴ・レチエル(Rodrigo Letier)
キャスト     Nise:Glória Pires ニーゼ:グロリア・ピレス
         Adelina:Simone Mazzer アデリナ:シモーネ・マゼール
         Carlos:Julio Adrião カルロス:ジュリオ・アドリアォン
         Emygdio:Claudio Jaborandy エミジオ:クラウジオ・ジャボランジー
         Fernando:Fabrício Boliveira フェルナンド:ファブリシオ・ボリヴェイラ
         Lucio:Roney Villela    ルシオ:ホネイ・ヴィレラ
撮影監督     アンドレー・オルタ(André Horta)
美  術     ダニエウ・フラックスマン(Daniel Flaksman)
編  集     ペドロ・ブロンズ( Pedro Bronz)
音  響     フランソワ・ウルフ(François Wolf)
音  楽     ジャッキス・モレレンバウム(Jaques Morelenbaum)

109分 ポルトガル語 カラー 2015年 ヴィスタ ブラジル

■公式サイト
http://maru-movie.com/nise.html

2016年12月17日ユーロスペースほか全国順次ロードショー

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